【コラム】相手を惑わせ!カジノで嘘のテル(癖)を演出してみた(前編)

 

♤ゼペットおじさんのブラフキャッチ

「オールイン」

ディーラーにそう告げると、相手は力いっぱい前へチップを押し出しました。

あなたは怪訝そうな表情でじっと彼を見つめます。

 

ほんの些細なものでもいい、何かヒントはないかーー。

彼の発声はいつもより小さかった気がする。それにせわしなく貧乏ゆすりをしている。ひょっとして自信がないのでは?

・・・水を飲んだぞ!水を飲むのはブラフを表す典型的なテル(癖)だ。オールインブラフの緊張は耐えがたい。喉も渇くことだろう。

 

いや、待てよ。

そうだ、「水を飲むのはブラフテル」というのは、そもそも彼が私にした話じゃないか。

もしかすると、彼は自分が吹聴したテルの話を逆手に取ろうとしているのでは?

「ほら、水を飲むのはブラフの証拠だよ」と嘘のメッセージを送っているのでは?

私がこの話を思い出すことを計算に入れて。

 

それとも、テルの話などすっかり頭から抜け落ちていて、たまたま水を手に取ってしまったのか?

それなら彼の胸中は穏やかではないだろう。

なにせ自分の与太話がブラフを見破られる決め手になるのだから・・・。

彼の表情からは何も窺えない。

何か重いものでも背負っているかのように、じっと一点を見つめている。

 

ああ、もう私には何もわからない。

彼はブラフテルをうっかり使ってしまったのか、それとも彼自身の意思で使っているのか、見当もつかない。

どうせ今日はこれで最後にするつもりだった。せっかくだ、コールしてしまおう。

ラストハンドだからと参加してみたら、こんなことに巻き込まれるなんて・・・。

 

あなたはほとんど泣きそうになりながらコールします。

するとテーブルの面々は一斉にため息をつき、「やっとかよ、全く」「こんなの即コールでしょ」「次はクロックするから」と心からあなたを祝福しました。

相手は大きくため息をついてマック。ああ、何という幸運!勇気のコールが実ったのです!

 

「みんな、一体どうして彼がブラフだとわかったんだい?」

ビッグポットをかき集めながら、あなたは訊ねました。

「どうしてだって?」

コオロギのジミニーは知らなかったのか、と言いたげな表情で私をじっと見つめました。

「ヤツの鼻を見なよ。嘘をつくと伸びるんだ。あんたがコールするまでの間、3フィートは伸びっぱなしだったぜ」

あなたは驚いて相手のほうへ顔を向けました。

「ナイスコール、ナイスハンド」

ピノキオがそう苦々しくつぶやくと、彼の鼻はさらに高く伸びていきました。

~Fin~

 

♤これがテルの心理だ!

皆さんはテル(癖)を信じますか?相手のテルを見てアクションを決めたことがありますか?

僕はあまりテルを信じるタイプではないです。だって、ブラフは緊張して喉が渇くといったって、ナッツを持ってるときも水ぐらい飲むでしょう?

僕は最近までそう考えていました。

しかし、色々なプレイヤーと話をしたり、テーブルでの会話を盗み聞きしている中で、面白い発見があったんですね。

  • 自分だけは相手の癖を見抜けると信じている人は意外と多い
  • 大切なのは、よくあるテルのパターンを「知っている」ことではなく、自分が相手の癖を「見抜いてやった」という感覚

この2つです。皆さんも何となく心当たりがあるんじゃないでしょうか。

テル好きな人は必ず「自分が体験したテル話」を一つか二つは持ってます。

昨日、KJoでオープンしたらBTNに大きな3ベットを打たれてさあ

ビッグポットでテーブルが盛り上がったあと、自分から嬉しそうに語ってくれます。

コールしたらフロップがQJ5。相手は少し考えてポットサイズのCB。この微妙な間でピンと来たね。相手はAKだと。オールインを返したらスナップフォールドだったよ

プリフロップでフォールドすべきでは?という疑問は置いといて、たまにこういうプレイヤーいますよね。

僕は今、アメリカでポーカーをしてますけど、みんなほんっとにこういう話が好きです。お国柄なんでしょうか。

それはそうとですね、大事なのは彼の「ピンと来た」という発言なんです。

そう、テルは「ピンと来る」ものなんですね。

間違っても「インターネットにそう書いてあったから」とか「即コールはドローってフィル・ヘルムースが言ってたから」なんて言いません。

あくまでも観察と経験を総動員させて、その場で見抜くものなんですね。

自分だけが見抜いた相手の癖、そして相手はそのことをまだ悟っていない・・・。これをどうして使わずにいられましょうか。だって、相手を手玉に取る絶好のチャンスなんですから。

人は他人から受け取った情報よりも、自分だけが密かに得た情報のほうを信じやすい傾向にあります。

「即コールはドロー」ってネットに書いてあったけど、今回の相手はトップペアでコールしてるのかもしれない・・・ネットの情報を鵜呑みにして損したくない。普通にプレイしよう。

これがまともな人間の心理です。しかし、

この相手は強いハンドなら即ベットしてくるはず。さっきもそうだった。しかし、今の一瞬の間は何だ・・・?ブラフを打つか悩んだのでは?

こういうのはいつまでも頭の片隅に残ります。気になって気になってしょうがないです。背中を押すきっかけになるのは圧倒的に後者のほうでしょう。

ましてやポーカーは心理戦の代名詞(と一般には言われている)ですからね。テルを見抜いた!と思ったら最後、その誘惑に抗うことは難しいでしょう。

これがテルの心理なんじゃないでしょうか。

テルは経験と観察眼、そして一瞬のひらめきによる芸術なのです。 

※と言いつつあまり上手くないプレイヤーのベットサイズテルはしっかり参考にします。

 

♤テルの心理を逆手に取れ!まずは計画を立てよう

このテルの心理をどうにかしてうまく利用することはできないのでしょうか。

嘘のテルを演出し、相手にそれを見抜かせることで、相手に思い通りのアクションをさせることはできないのでしょうか。

今回はここ、アメリカはカリフォルニアの大都市・ロサンゼルスにて実際に実験してみたいと思います。

★ルール★ 

  1. 嘘のテル(テル爆弾)で相手の心理をコントロールし、バリューにコールしてもらったり、ブラフにフォールドしてもらったりする。
  2. テル爆弾を投下すること以外は普通にプレイする。テル爆弾でプレイラインを変えたりはしない。
  3. 恥を捨てる。やばいヤツだと思われてもやり抜く鋼の心で取り組む。
  4. 相手に対するリスペクトを忘れない。

こんなところですかね。

さて、じゃあ実際のところ、どんなテル爆弾にすべきでしょうか。

ここで「あ、相手のあの表情はブラフ読みだな、じゃあ大きめにバリューを打とう」とか考えてたんじゃあ、テル勢と何も変わりません。

今回は心理学の見地に立った合理的なテル爆弾というものをお見せしたいと思います。

 

♤人は第一印象が9割!ハロー効果とは

皆さんはハロー効果(halo effect)をご存じですか?

心理学の用語で、簡単に言えば「相手の第一印象に引っ張られて新しい情報をうまく評価できない状態」を指します。

例えば、初対面でいきなりタメ口で、その場で作ったあだ名で自分のことを呼び、ピノとか雪見だいふくを「1個ちょうだい!」って勝手に食べるヤツがいたとしましょう。

なんやこいつ・・・って思いますよね?僕は思います。

でも実は彼は悪いヤツではなく、仕事はマジメそのもの、高校から付き合ってる彼女との結婚資金を貯めながら、月に一度は地元に帰って親孝行をする好青年なんですね。

なんか理想的すぎて嫌味な感じがしませんか?

あるいは「悪い人じゃないのはわかったけど、自分とは合わないかな~」なんて思ったりしませんか?

これこそがハロー効果なんですね。初対面の印象が強烈すぎて、あとから与えられた情報を正しく評価できないわけです。

 

こんなのはどうでしょう。

小中高は転校が多くてあまり学校に馴染めず、大学でも苦学生で日々バイトばかり。でもご両親と彼女の支えもあって何とか卒業。恩返しにとマジメに働いて実家に仕送りし、さらに結婚資金を貯めてる人がいたとしましょう。

こちらは全く嫌味な感じはしません。立派な人がいたもんだな、幸せに結婚してほしいな、となりますよね。

つまり、ハロー効果は「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」なんですね。

実直に仕事をこなし親孝行をすることは、単純に考えれば良いことに決まってます。誰もができることではありません。

でも、第一印象に引っ張られてその良いことが歪んで見えてくるんですね。人間が持つ強力なバイアスの一つです。

 

さて、このハロー効果を何とかしてテル爆弾に使えないもんでしょうか?使えそうですよね。

初対面のテーブルでいきなりビッグブラフを打ち、それをショウしてFooooo!と叫ぶのはどうでしょうか。

テーブルの面々は「うわ、なんだこのブラフ・・・」という第一印象を持つことでしょう。

そしてポットを集めながらイヤホン+音楽で体をリズミカルに揺らすんです。鼻歌も効果的ですね。

つまり、「ビッグブラフが決まったぜ!気持ちいい!」と全身でアピールするんですね。こんなヤツがテーブルにいたら「次はブラフキャッチしてやるぞ、覚悟しろ」ってなもんでしょう。

そのあと、しばらくはおとなしくしておきます。ここが大事です。

そしてしばらく経ったらまたトリプルバレルを打つんですね。もちろん今度はバリューです。

彼らは序盤のブラフイメージに引きずられて、勝手に怪しんでくれるのではないでしょうか。

「こいつはビッグブラフがあるからな。周期的に考えてそろそろブラフだろう。我慢してたみたいだが、そろそろブラフがうずいてきたんだろう?俺にはバレバレだぜ」などと解釈してくれるのではないでしょうか。

冷静に考えればトリプルバレルのブラフなんてライブキャッシュでポンポン打てるわけがないんですが、強烈な第一印象にしておけば、「自分だけが見抜いたヤツのブラフ周期」を脳内で作り出してくれるんじゃないでしょうか。

そうすれば、テル爆弾を投下しないときと比べて、トリプルバレルのバリューにコールしてくれそうですよね!

なんならリブラフでチェックレイズオールインをしてくれるかもしれません!

 

 

それにしても、人をだます計画を立てるのはどうしてこんなに楽しいんでしょうか。

きっと詐欺師もこのワクワクとスリルが仕事のやりがいなんでしょう。『DEATH NOTE』のアイバーもそんなことを言っていました。

ぶっちゃけGTOの座学をしたりRun it Onceの動画を見たりするよりも、テル爆弾のほうがよっぽど楽しいんですよね。困ったことに。

こうなったらこう!相手から見た自分の印象はこう!で、そこでリバーでナッツを引いて・・・とシミュレーションするだけでニヤニヤが止まりません。

しかもGTOなんかよりもダイレクトに時給を上げてくれる可能性がありますから、実利面での期待も高まっています。

 

 

ここまで書いて、1日置いて考え直してみたんですが、結局やってることはひらめきテル星人と一緒なのでは?という気がしてきました。

やれハロー効果だ、やれ合理的だなんだと言いながら、相手の思考パターンを勝手に想像して作り上げて、それに合わせてアクションをしようとしているのでは・・・?

 

 

 

 

よくわからないけどテル爆弾を考えるのは楽しいし実際にやってみたい!

謎理論が完成した!いざ実戦へ!

 (続く)

 

海外カジノ遠征記ロサンゼルス編もよろしくね。

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