【コラム】相手を惑わせ!カジノで嘘のテル(癖)を演出してみた(後編)

★ルール★ 

  1. 嘘のテル(テル爆弾)で相手の心理をコントロールし、バリューにコールしてもらったり、ブラフにフォールドしてもらったりする。
  2. テル爆弾を投下すること以外は普通にプレイする。テル爆弾でプレイラインを変えたりはしない。
  3. 恥を捨てる。やばいヤツだと思われてもやり抜く鋼の心で取り組む。
  4. 相手に対するリスペクトを忘れない。

 前編: https://www.pokerjaws.com/entry/2019/03/26/011419

 

♤Bicycle Casinoにて

前回から10日が過ぎました。しかし一度もトリプルバレルブラフを打てませんでした

わかっていたことですが、テーブルに座って早々にトリプルバレルを打つっていっても、なかなかそんな場面は来ませんね。

しかもCommerce Casinoではレギュラーにすっかり顔を覚えられてしまいました。

なんか先日はですね、俳句が趣味だというレギュラーのおじさんにつかまって、「自慢の俳句があるんだ、見てくれないか」とのことで、おじさんの俳句(英語)をなぜか僕が読み上げる→おじさん「Umm...」(うなずく)→また僕が読み上げる→おじさん「Hmm...」(うなずく)みたいな謎イベントがありました。

なぜ俳句?って思って調べてみたら、アメリカでは俳句が流行ってるんですかね。小学校の授業で取り入れてる州もあるんだとか。

僕が日本人だと思って俳句の話題で話かけてくれたのかな、とそのときはホッコリしたんですが、おじさんはまた別のヤツに俳句を読み上げさせて「Hmm...」ってやってました。誰でもええんかい。

 

ともあれ、こんな雰囲気では今更ブラフしてFoooo!もないですよね。

やっぱり顔見知りが少ないテーブルを探す必要があるみたいです。

そのためだけにこの2日、時間帯をずらしてBicycle Casinoでプレイしました。

最近はテーブル稼働が悪いのでしばらく敬遠していたBicycleですが、この誰に頼まれたでもない実験のために行きました。何をしにアメリカまで来たのかわからなくなってきますが、とにかく行きました。

美しいエントランス。伝統と格式のある老舗カジノです。ローレートでは地元のプレイヤーが和気あいあい、ハイレートではテーブルに1億円以上を乗せてプロがしのぎを削ります。

まずはカジノ内のカフェで今回の作戦を再確認します。

考えてみれば当たり前のことなんですが、前回はここまでブラフのチャンスが来ない&すぐに顔を覚えられるとは思ってませんでした。

代わりに初めてポーカーやった人のふりをしてみようかとも考えてみました。(ハンドを顔の高さまで持ち上げて凝視・「ブラインドって何?」etc)

でもさすがにマナー違反かなと思い断念。

 

結局、頻繁にテーブル移動をすることで初見のテーブルを増やしていくことに。

また、少しでも作戦を成功させる確率を上げるため、ブラファーっぽい身だしなみにしてみました。

ハリウッド帰りの観光客っぽいバットマンのTシャツ、似合いもしないグラサンに、つばを反対に向けたキャップ。音楽はエミネムを聞きます。今の若い人はエミネムとか知ってるんですかね?令和を生きる若者は何を聞いてるんでしょうか。米津玄師でしょうか。

本当はタトゥーシールを貼ったりドクロの指輪をしたりすべきなんでしょうけど、これが僕にできる精一杯です。

鏡を見るたびに苦笑いが出ます。でもこの「若作りしようとして失敗してるオッサン感」はバリューかブラフかと言われるとブラフ寄りでしょう。

 

 

♤アメリカ人はノリがいい!

さっそく作戦開始です。まずは5/5のウェイティングを入れながら2/3をプレイ。

普通に何事もなく進行します。

ブラフどころかほとんど参加できず、さっさと5/5へ移動。

そして何度かテーブル移動をしたあと、新しいテーブルにの面々を見渡して、思わず「フフッ」ってなってしまいました。

グラサン+キャップにネックレス、腕にタトゥーまで入ってる僕の上位互換が座ってるんですよ。しかも同じアジア系。これじゃ親分と子分じゃないですか。

僕は割と笑いのツボが浅くて、特にこういう「状況が面白い系」に弱いんですよね。笑ってはいけないと思えば思うほど、そんな自分に笑えてきます。皆さんもそんな経験はありませんか?

 

しばらくして、リンプポットでこんなことがありました。

3人リンプインでBBの僕はQ6を持っていました。当然チェック。

フロップ:753

ガットとバックドアフラッシュができました。チェックで回ります。

ターン:7539

アウツが増えました。チェックアラウンドに今度はBTNが4bbのリードベットをしてきます。SBはコール。

ここは単にコールするのがいいでしょう。リバーでストレートを引いたときに彼らがツーペアやセットをフォールドするとは思えませんから、インプライドオッズは十分です。コールして3way、リバーを見ます。

リバー:7539A

すべりました。SBと僕はチェック。BTNはまた4bbのベット。それにSBがコール。

なになに?J9とかで薄いバリュー?いやいや、ライブキャッシュは魔境です。こういうシチュエーションでBTNから54sのワンペアとかとんでもないハンドが飛び出してくるのがライブキャッシュです。いずれにしろ自分はQハイ。フォールドするか…。

 

ここなら比較的安くブラフできるのでは?

 

そうですよ、トリプルバレルブラフにこだわる必要はありません。大事なのは派手なブラフをして叫ぶことです。

SBのレンジはキャップされてそうだし、絶好のチェックレイズブラフの状況じゃないですか。万一Aのペアがいてもコールは簡単ではないはずです。やってみる価値はあります。

31bbにポットレイズしました。BTNは即フォールド。SBは考え込みます。

2回目のチェックコールでSBにツーペアやセット、ストレートは絶対にないはずです。どうせ87oとかなんでしょ?フォールドしようよ。ほら、フォールドしてください…。

結局SBはフォールド。7を見せてくれました。ここだ!ここでハンドをショウ!よし、あとは叫んだらようやく呪縛から解放される…。

 

僕:Foo...

BTN:This is what I was talking about! I hate this game! I HATE THIS GAME!!!!!(ほらな、言ったとおりだろ!クソゲーかよ!クソゲーかよ!!!

 

なぜか即フォールドしたBTNのおっちゃんがブチ切れ。彼のデカい声で僕の声がかき消されました。

このおっちゃん、今日はずっとついてないようで、バリューはまくられ、ブラフに降ろされまくってるらしいんですね。

それとは対照的にSBは笑顔でI knew it !(絶対そうだと思った!)を連呼。向かいの兄ちゃんはこちらに腕を伸ばしてきて、お互いの拳をちょん、と合わせるアレをやりました。テーブルが一気にワーっと活気づきます。

僕はエミネムのリズムに合わせて首を前後させ、小声でFow!とつぶやきながらポットを集めました。微妙な恥ずかしさをまだ捨てきれません。人間力の低さが露呈します。

 

しかし大幅な路線変更はあったものの、作戦の第一段階は成功と言って差し支えないでしょう。

テーブルも盛り上がりましたし、本来のターゲットではないのですがBTNをイラつかせることに成功しました。「ビッグブラフで快感を覚えるヤツ」というイメージが僕についたことは間違いないです。

 

♤ようやくテル爆弾のチャンスが

さて、ブラフは成功しました。

作戦ではその後しばらくおとなしくしておくはずですが、普通にいいハンドが来るんで、割と参加率が高くなってしまったんですよね。

QQでプリフロ3ベットを打ってヘッズアップ、ローボードでダブルバレルを打って相手はフォールド。

リンプに対してAQsでアイソレート、ショートスタックがオールイン、スナップコールにAハイボードで50bbくらい獲得。

あとは忘れましたが、ほかにも何回かポットを取って、気づいたときには300bb近いビッグスタックになっていました。

もう本来の作戦は影も形もないですが、僕がめっちゃアグレッシブなやつみたいなイメージになってますので、ここで一つビッグハンドが入ってほしいですね。

 

しばらくしてから、こんなハンドがありました。

MPが3bbオープン。CO、BTN、SBがコール。BBの僕は76。ストレートやトリップス狙いで参加します。

フロップ:J76(15bb)

ボトムツーペアができました。ターンで落ちてほしくないカードが多すぎるので、今回はドンクベットすることに。

かなりウェットなボードなので、15bbのポットに12bbのベット。MP、CO、SBはフォールド。SBだけがコールします。

 

ターン:J768(39bb)

SBはチェック。ターンの8は54とT9にストレートを完成させ、J8と87は僕よりも強いツーペアを作ります。

しかし、依然としてSBのレンジにはJX、フラッシュドロー、98・55などのペア+ドローがいますので、b/fの予定で25bbをベット。

SBは即コールします。

 

ところで、僕はオフスートであっても必ず自分のハンドのスートは覚えるようにしています。

76なら「76のCS(club, spade)」など、スートをアルファベットにしておくと覚えやすいです。

ボードにフラッシュドローができたときとか、いちいち自分のハンドをめくって確認してると、相手に変なテル読みをされて嫌ですからね。

しかし今回はあえて自分のハンドをちらちら見ることにしました。

フロップでハートのフラッシュドロー、ターンでさらにスペードのドローがつきましたから、あえて自分のスートを確認するほうが、ドローらしく見えるのではないかという狙いです。

もうこの辺から前回言ってたテルの心理に自分がどっぷりハマってるのですが、全く自覚はありません。演技することに必死です。

 

リバー:J7686(89bb)

SBはチェック。全てのドローはすべって、ストレートをまくりました。

こういうときって嬉しさよりもまずはホッとしますよね。僕が気が小さい人間だからかもしれませんけど。

しかもヘッズアップでSBに対してIn Positionを取っています。ドローすべりっぽくオーバーベットするのもよし、弱いJや98なんかにターゲットを定めてハーフポットくらいベットするもよし。やりたい放題です。

 

しかし今回はテル爆弾がテーマです。ここで嘘のテルを使わない手はないでしょう。

まずはカードシャッフル。手元で自分のハンドをしゃかしゃか動かします。

ナッツを持ってるときは絶対にしない動きだとフィル・ヘルミュースが言ってました

そしておもむろにチップの山をズイッと前に押し出します。

僕:I bet 400.

80bbの大きなベット。しかもいつもは言わないベット額の申告です。マネープレッシャーで降ろしたい!という気持ちが表れたブラフテルですね。これもネットに書いてありました

SBはじっと考え込みます。

ここでとどめの飲料補給です。水を飲むのはブラフテル。誰もが一度は聞いたことのある有名な話です。

どうだ?これでフラドロすべりのブラフに見えないか・・・?

 

どう考えても挙動不審すぎます。

いざビッグポットで嘘テルをやるとなると、混乱して焦ってしまうんですね。

前回、心理学がどうとか偉そうに能書きを垂れてましたが、もうそんなものを考える余裕はありません。必死にTwitterとかで見たテルの与太話を思い出しては一つ一つ実行していました。

しかし問題は自分の演技力のなさです。

カードをしゃかしゃかしながら上ずった声でベット額を申告、ペットボトルの水を一気飲みしてますからね。こんなに忙しいヤツは見たことがありません。

考えつく限りのテルを一通りやり抜いたあと、うっすら汗をかきながら「役者とか声優ってすごいんだな」とか考えていました。

 

さすがにこれは狙いすぎのバレバレなんじゃないでしょうか。もういっそ笑い飛ばしてくれたほうが気が楽です。

しかし、テーブルは全くそんな雰囲気ではありません。SBは真剣そのもの。じっとこちらをにらみつけてきます。

それどころか、今やテーブルのほとんどの人が僕のパントマイムをじっと見つめています。

 

嘘だろ!?こんなんでいいの!?

 

想像以上に効いてるようです。

SBはチップを数えてコールしたそうな雰囲気。しかし苦しそうな表情を浮かべています。スマホをいじっていた上位互換も顔を上げ、興味津々でこちらを凝視してきます。

しかし、純粋にポーカーを楽しんでいる人たちをだましてるようで、ちょっと心苦しくなってきました。(実際、骨の髄までだまそうとしてるんですが)

これはまともな社会人のやることなのだろうか?

いや、これは自分に与えられた使命だ。

そのために費やしてきた時間を思い出せ、もう引き返すことはできないのだ・・・。

 

そんなことを考えながら、1分近く膠着状態が続きました。

そしてついにSBは重い口を開きます。

SB:All in.

 

あ〜薄々思ってたけどやっぱりか…。

SBは「ひどいブラフやっちまったわ~」とでも言わんばかりに大きくため息をつきながら乱暴にチップの山を押し出します。そして腕を組んでしょぼくれた顔でこちらを凝視。

これって逆に嘘テル攻撃されてるんですかね。テーブルからはクスクス笑い声が起こり始めます。

オールインのサイズは約1000ドル。コールするとポットは約2400ドルになります。やってられませんが、真剣に考えます。

 

ここでの僕の76oは基本的にブラフキャッチです。フルハウスの中では最弱ですが、ドローすべりやペアをブラフに変えたプレイはキャッチできます。

しかし、86、J6、77、88、いないとは思いますがJJには負けています。

このチェックレイズオールインにどれだけブラフが含まれているんでしょうか。

こればっかりは相手のプレイスタイルに大きく依存するでしょう。しかし、初見テーブルなので彼のことをよく知りません。

僕は600ドルを追加で出して2400ドルを得るので、必要な勝率は約25%。しかしもう冷静に考える余裕がないんですね。

SBは「どう?ブラフだよ?」みたいなしょぼーんとした顔でこちらを見てきますし、テーブルからは次第に大きくなってきた笑い声と「この前こんなハンドがあってさあ…」みたいなどうでもいい話が聞こえてきます。

テーブルの情報量が多すぎて、落ち着いて考えられません

 

結局、僕はコールしました。正直もう疲れたんです。

「カジノのキャッシュではこういう場面でストレートや6のトリップスで突っ込んでくることもあるから」という曖昧な根拠でしたが、今思うといいコールではなかったかもしれません。

SBがショウしたのはJ6o。僕より強いフルハウス。負け。

テーブルは大盛り上がりです。SBはガサっと30ドルほどつかんで、ディーラーに投げてよこします。破格のチップです。

あ~あ、やっちゃったなあ…。

 

ため息をつきながらリバイ。するとSBが「Sorry about that, man. But...」となぐさめてくれました。

同情するなら金をくれ、とアラサーにしかわからないドラマ『家なき子』の名台詞を言ってやりたくなりましたが、悪いのはほかでもないコールした僕。

「ハハハ・・・」

と力なく笑い、変なヤツだと思われました。多分。

こういうときに日本人的な笑いをすると誤解されますよね。でも、もうそんなことを気にする余裕もありません。 

いつもに増して頻繁なテーブル移動、子ども騙しのテル合戦、そしてフルハウスオーバーフルハウスのバットビート。果てしなく疲れました。

 

ぐったりしながら、このあともしばらくプレイを続けました。

しかしさっきのビッグポットもあってかテーブルがルースになって、少しばかり負けを取り返すことができました。

テーブルの雰囲気もよくて、新しいプレイヤーが入ってきたら「気をつけろよ、このテーブルは何でもあり(no limit)だぜ!」とジョークを飛ばす人も。

なぜか「誰が一番イヌの鳴きまねが得意か」みたいな話になって、テーブル全体が「アオーン」「バウ!」と動物園状態になったり。

腹を抱えて笑いながら思いました。やっぱり普通に楽しくプレイするのが一番ですね。

うんざりするほど聞いたエミネムをプレイリストから削除して、この日はテーブルブレイクするまでBicycleでプレイしました。

 

 

♤結論

・素人がテルに手を出すと痛い目に遭う

・アメリカ人のノリの良さは半端じゃない

・ライブキャッシュは楽しんだもん勝ち

 

 

♤Special Thanks

Awesome Vlnela,

Mikeee,

Roger,

and EVERYONE in Bicycle Casino

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