【コラム】ポーカーのいろいろな確率

勝率・オッズとは?

チンアナゴ

今回はメカジョーズくんが教えてくれるんだね。よろしく!

メカジョーズ

はい。ポーカー用語の「勝率」とは文字通り「あるハンドがショーダウンで勝つ確率」のことです。

メカジョーズ

例えば[AA]と[KK]がプリフロップでオールインになったとき、[AA]の勝率は約81%です。

メカジョーズ

一方で「オッズ」とは、「ポットに参加するために必要なチップと、勝ったときに得られるポット比率」のことです。

メカジョーズ

投資と見返り、リスク・リターンとも言えます。
オッズに見合った額のチップを賭けると、リスク・リターンのバランスを取ることができ、長期的に見て少しずつ得をしていくか、少なくともプラスマイナスゼロの状態になります。

メカジョーズ

もう少し詳しくオッズについて見てみましょう。
例えば、相手がリバーでポットサイズのベット(1ポットのベット)をしてきて、それに自分がコールする場合を考えましょう。

ポットベットのコールに必要なオッズの考え方
  • ベットにコールするために必要なチップ」は1ポット。
  • 勝ったときに得られるチップ」は場に出ているチップすべて。
    • 相手がベットした1ポット+もともとあった1ポット+自分がコールした1ポット=計3ポット
メカジョーズ

ですので、この場合のオッズは1/3、つまり約33.3%ということになります。別の言い方をすれば、「3回に1回勝てば元が取れる」ということになります。

チンアナゴ

自分のハンドとボードを見比べて、自分に33.3%以上の勝率がありそうだと思えば、相手の1ポットのベットにコールすることができるってことだね。

メカジョーズ

もちろん、実際は相手のハンドのほうが強く、ショーダウンで負けてしまうこともあります。

メカジョーズ

しかし、同じようにオッズが33.3%の状況で、33.3%以上の勝率でショーダウンすることは今後もあるでしょう。

メカジョーズ

そうすると、短期的な勝ち負けはあるものの、十分長い目で見れば徐々に利益が増えていくか、少なくともプラスマイナスゼロに落ち着くはずです。

チンアナゴ

うーん、フロップとかターンで賭けたチップがもったいないからコール!って思っちゃうんだけど、そういうのはよくないの?

メカジョーズ

前のストリートで賭けたチップは考える必要はありません。あくまでも「今、いくら投資すればいくら見返りがあるのか」に注目すべきです。

メカジョーズ

例えば、プリフロップではなく、リバーからいきなり始まるポーカーを考えてみてください。

メカジョーズ

そのポーカーの1回の参加費は高く、さっきの単位で言うと0.5ポットです。ヘッズアップで相手も0.5ポットを払っているので、テーブルには合計1ポットがあります。

メカジョーズ

そこに相手が1ポットのベットをしてきました。自分のハンドとボードを見比べると、勝率は3回に1回勝てるぐらいだとします。

メカジョーズ

ここだけを見れば、さっきの例と全く同じ状況です。ということは、このリバーから始まるポーカーでコールをするのが正しいなら、さっきの例でも同じようにコールをすべきでしょう。

チンアナゴ

ふーん。「今、自分がどのアクションを取れば得するか」だけ考えればいいんだね。

メカジョーズ

そうです。未来の損得を決めるのは、あくまでも現在の状況判断です。過去に自分がどんなアクションをしたか、どれだけのチップを賭けたのかは関係ありません。

メカジョーズ

これはポーカー用語ではありませんが、すでに支出してしまって回収できない費用のことを「サンクコスト(sunk cost)」といいます。「埋没した費用」という意味です。

メカジョーズ

例えば、休日に映画館に行くというケースを考えてみます。
チケットを買っていざ映画が始まると、なんだか期待していたほど面白くありません。座っているのがだんだん苦痛になってきました。でも、ここで映画を見るのをやめてしまうとチケット代と貴重な休日が無駄になってしまうと思い、エンドロールまで見続けました。

メカジョーズ

しかしやはり最後まで駄作で、こんなことなら別の映画にすればよかった、いや久しぶりの休日だったからもっと有意義なことをすればよかったと後悔するわけです。

メカジョーズ

この場合、チケット代と映画が面白くないと気づくまでに費やした時間がサンクコストです。チケット代と時間は絶対に戻ってくることはないにもかかわらず元を取ろうとして映画を見続け、その結果、時間的・精神的損失が大きくなってしまったというわけです。

メカジョーズ

チケット代と時間はスッパリ忘れてしまって、映画の途中で映画館を出て買い物をするなり、自宅に戻って掃除をするなりしたほうがいい休日になったかもしれません。

メカジョーズ

このように、サンクコストを惜しむのは人間の先入観によるもので、未来の損得を合理的に判断するためにはサンクコストを無視しなければなりません。「やっちまったもんはしょうがない」の精神で、それから先の利益を考えることが大事なのです。

メカジョーズ

サンクコストは時間、金銭、労力など、さまざまな形で日常に現れます。高額だったけど効かないダイエット食品、ソーシャルゲームの課金、そしてポーカーにおいては前のストリートで賭けたチップがサンクコストです。

チンアナゴ

ところで、「オッズに合う」「オッズに合わない」とか、あれってどういうこと?

メカジョーズ

オッズに合う」とは、「自分のハンドの勝率がオッズよりも高いこと」を指します。さっきの例で言えば1/3=33.3%がオッズで、自分のハンドの勝率が33.3%あったので、ぎりぎりオッズに合うということになります。

メカジョーズ

オッズとは投資するチップと見返りの比率ですから、その比率と同じ勝率があれば、長い目で見て損はしないということです。
もちろん、オッズよりも高い勝率があれば、繰り返しプレイすればするほど利益が大きくなっていきます。

勝率・オッズとは?
  • 勝率とは、「自分のハンドがショーダウンで勝つ確率」のこと。
  • オッズとは、「ポットに参加するために必要なチップと、勝ったときに得られるポット比率」のこと。
  • オッズと同じだけの勝率があれば、長期的に見て自分は損をしない
  • 逆に言えば、長期的に見て自分が損をしないためには、そのときのオッズと同じだけの勝率が必要。

アウツとは?

メカジョーズ

「アウツ」とは、「自分のハンドをより強い役にするようなカード」のことです。

メカジョーズ

例えば、[K❤️][Q❤️]を持っていて、ボードが[A❤️][8❤️][3♣️]なら、ターンかリバーでハートが落ちればナッツフラッシュが完成します。残り9枚のハートのカードがフラッシュのアウツです。

メカジョーズ

アウツという言葉はフラッシュやストレートのドローを持っているときに特によく使われますが、ペアやハイカードの場合でももちろんアウツはあります。

メカジョーズ

例えば、[A♠️][J❤️]を持っていて、ボードが[J♣️][T♦️][5♠️]なら、残り3枚のAと2枚のJが自分のアウツとなり、現状のJペアAキッカーをツーペアやトリップスに進展させます。

アウツを引く確率

メカジョーズ

アウツの枚数とアウツを引く確率の対応表です。

メカジョーズ

「ターンだけ」はフロップの段階でターンの1枚でアウツを引く確率、「ターンとリバー」はターン、リバーの2枚でアウツを少なくとも1回引く確率です。

アウツの枚数ターンのみターンとリバー
2042.6%67.5%
1940.4%65%
1838.3%62.4%
1736.2%59.8%
1634.0%57%
1531.9%54.1%
1429.8%51.2%
1327.7%48.1%
1225.5%45%
1123.4%41.7%
1021.3%38.4%
919.1%35%
817.0%31.5%
714.9%27.8%
612.8%24.1%
510.6%20.4%
48.5%16.5%
36.4%12.5%
24.3%8.4%
12.1%4.3%
メカジョーズ

例えばフラッシュドローですとアウツが9枚ありますので、ターンで引くならば19.1%の確率です。

チンアナゴ

うわー、とてもじゃないけど全部覚えられないよ。

メカジョーズ

簡単な計算方法があります。
アウツの枚数に2をかければターンだけで引く確率、4をかければターンとリバーで少なくとも1回引く確率とほぼ同じ値になります

メカジョーズ

例えばフラッシュですと、アウツが9枚なので9枚かける2=18で、19.1%に割と近い値が出ます。表のアウツの枚数に2、4をかけてみてください。右側の確率と近い値になります。

チンアナゴ

ホントだ!

メカジョーズ

アウツの枚数が多いほど、この簡易計算の確率と実際の確率にズレが生じます。しかし、16枚以上のアウツを考えることは実戦の中ではほとんどありませんので、大きな問題はないでしょう。

実際にオッズとアウツを計算してみる

メカジョーズ

それでは、実戦でオッズ、アウツ、勝率を計算するにはどうすればいいのでしょうか。よくあるシチュエーションを一緒に考えてみましょう。

アウツ計算
  • プリフロップ
    • あなた(BU):[A❤️][J❤️]
      • b 3bb
    • 相手(SB):[?][?]
      • c
  • フロップ
    • ボード:[Q❤️][7❤️][5♣️]
      • ポット:7bb
    • あなた(BU):[A❤️][J❤️]
      • b 4bb
    • 相手(SB):[?][?]
      • x/r 8bb
メカジョーズ

フロップで4bbのCBを打ったところ、8bbのレイズが返ってきてしまったシチュエーションです。

チンアナゴ

さらにレイズする(3ベット)って選択肢はないのね?

メカジョーズ

相手のレイズに対して3ベットすると、自分のハンド(Aハイフラッシュドロー)よりも弱いハンドはフォールドし、逆に強いハンドはコールかさらにレイズをしますから、結局損してしまう可能性が高いと思います。

チンアナゴ

そっか、ここでの3ベットは初級編でやった「間違ったアクション」なんだね。

メカジョーズ

相手にもよりますが、基本的にはそうです。

メカジョーズ

さて、コールかフォールドかを判断するために、まずは自分がターンを見るのに必要な勝率、オッズを計算しましょう。

メカジョーズ

自分が相手のレイズにコールしたとき、ポットは23bbとなります。

チンアナゴ

もともとあったポットの7bb+相手のレイズした8bb+自分がコールした8bbだね。

メカジョーズ

その23bbのポットに参加するためには追加で4bbをコールする必要があります。ということはオッズは4/23、23回に4回勝てばいい計算で、パーセントに直すと約17.3%です

メカジョーズ

一方、ターンでフラッシュのアウツを引く確率は、ダイヤの残り9枚に2をかけて約18%です。これは必要勝率の17.3%よりも高いので、オッズに合います。つまり、コールして問題なさそうです。

メカジョーズ

また、仮に相手が[Q♦️][J♦️]のようなハンドでレイズしてきているなら、ターンでAを引いても勝てますから、Aのアウツ3枚をフラッシュのアウツ9枚に加えて、合計12枚のアウツがあると考えられます。その場合、ターンで自分が勝つ確率は24%となります。

チンアナゴ

ターンとリバーを両方考える場合ってないの?

メカジョーズ

もちろんあります。さっきの問題で、手持ちのチップが少ないSBがリレイズオールインしてきた場合を考えてみましょう。

チンアナゴ

えーっと、フロップで私が4bbをベットしたら、相手からオールインが来たってこと?

メカジョーズ

その通りです。オールインのサイズは15bbとしましょう。この場合、オールインにコールすればリバーまで必ず見ることになりますから、ターン、リバーの両方でアウツを引く確率の計算をします。

メカジョーズ

自分が相手のオールインにコールしたとき、ポットは37bbとなります。

チンアナゴ

もともとあったポットの7bb+相手のオールインの15bb+自分のコールした15bbだね。

メカジョーズ

そのポットに参加するために自分はあと11bb出す必要があります。つまり、11を出して37返ってくるオッズとなっており、必要な勝率は11/37=約29%です。

メカジョーズ

ターンまたはリバーでフラッシュを引く確率は9枚かける4で約36%となり、これは必要な勝率の29%よりも高いので、やはりオッズに合います。これもコールして問題なさそうです。

チンアナゴ

まずは自分のハンドの勝率をアウツで計算して、次に必要な勝率(オッズ)に届くか届かないかを比べるわけね。

メカジョーズ

そういうことです。基本的には、必要な勝率を満たさないハンドでコールすることは、長期的に見て損です。

メカジョーズ

ただし、「インプライドオッズ」という例外もあります。インプライドオッズとは、「現状では必要な勝率(オッズ)を満たしていないけど、アウツを引いたときに相手からより多くのチップを奪えるので、弱いハンドで参加しても利益が出ると見込まれる」状態のことです。

覚えておくと便利な確率

メカジョーズ

フロップで役やドローができる確率やハンド同士の勝率は覚えておくと何かと便利です。いくつか代表的なものを挙げていきます。

メカジョーズ

ポケットペアでないハンドを[XY]と表記します。確率の小数点以下は四捨五入しています。

 種類確率ハンドの例ボードの例
[XY]のうち少なくとも1枚がフロップでペアになる確率32%[A♠️][K♠️][A❤️][8♣️][2♦️]
[XY]の両方がフロップでペアになる確率2%[A♦️][K♠️][A♣️][K❤️][4♦️]
コネクタがフロップでストレートドローになる確率
※ガットショットを含む
26%[Q♦️][J♦️][T❤️][9♣️][5♠️]
コネクタがフロップでストレートになる確率1%[Q♠️][J♠️][T♣️][9❤️][8♦️]
スーテッドがフロップでフラッシュドローになる確率11%[8❤️][7❤️][A❤️][J❤️][3♣️]
スーテッドがフロップでフラッシュになる確率1%[8♠️][7♠️][A♠️][6♠️][5♠️]
ポケットペアがフロップでセットになる確率11%[6♦️][6❤️][Q❤️][6♣️][2♦️]
チンアナゴ

XYがフロップでペアになる確率は大体3回に1回なんだね。

メカジョーズ

それはとても大事なポイントで、コンティニュエーション・ベット(CB)が利益を生む最大の理由です。

メカジョーズ

つまり、相手はフロップで3回に2回はペアを持っていないはずなので、ベットすれば相手はフォールドする可能性が高いということですね。

チンアナゴ

ふむ。

メカジョーズ

ポケットペア同士の勝率はおよそ80%vs20%です。

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メカジョーズ

[XY]同士の勝率はオーバーカードが2枚あるならおよそ66%vs33%です。
コネクタ、スーテッドがつくとそれぞれ約4%ずつ勝率が上がります。
オーバーカードが1枚の場合はハンドによって確率が変動しますが、およそ60%vs40%が目安です。

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メカジョーズ

[XY]とそれよりも低いカードのポケットペアの勝率です。
およそ45%vs55%でポケットペアに分があります。

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メカジョーズ

XY同士でキッカーをドミネイトしている場合の勝率です。およそ74%vs26%となり、ドミネイトしているハンドにかなり分があります。

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メカジョーズ

ポケットペアとXYで、同じカードを持っている場合の勝率です。
およそ92%vs8%となり、ポケットペアが圧倒的に有利です。

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チンアナゴ

頑張って覚えて実践で使いたいな!

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