プレイスタイルごとのアジャストが大事!

前回は簡易的アジャストとGTO的アジャストの2種類のアジャストについて話をしたよ。
簡易的アジャストはレンジ・プレイライン・ポジションの三要素が大事なんだったね。

アジャストってまじめに考えたことなかったけど、奥が深いんだねえ。

これまで【初級編】と【中級編】でプリフロップのレンジやポストフロップの戦い方を説明してきたけど、次につまづきやすいのがこのアジャストなんだ。
よくありがちなのが、「自分だったらこうプレイする、だから相手のハンドはこうだ!」って考えちゃうことだね。

ああ、それよくやっちゃうかも。

ポーカーに慣れてくると自分の戦い方が固まってくるから、相手にもそれを求めちゃうんだね。でも、それは根拠のない思い込みなんだ。相手は相手の論理でポーカーをやってるからね。
だから「このタイプの相手だったらどうするか」を常に考えないといけないんだ。

ふーむ。それで相手がどういうタイプなのかが大事なんだね。

そういうこと!今回はカジノによくいるプレイスタイルのコーリングステーション(ルースパッシブ)とルースアグレッシブを取り上げるよ。
この二つのスタイルにうまくアジャストしてみよう!
コーリングステーション(ルースパッシブ)のアジャスト

まずはコーリングステーション(ルースパッシブ)の簡易的アジャストから見ていこうか。

今日はね、私が見込んだピカイチのコーリングステーションを連れてきたよ!
ふふふ、ジョーズくんにアジャスト方法を教えてもらおっと。

チンアナゴちゃんの人間関係が心配だよ。

おーい、こっちこっち!
こんにちは・・・。

あ、どうも。はじめまして。

友達のクラゲちゃん!小中高と一緒だったんだ。

優柔不断な性格で、流されやすい。
プレイスタイルはコーリングステーション。

ポーカーはたまにチンアナゴちゃん達とやるんですけど、あんまり勝ったことはないか休日は図書館とか植物園で過ごすのが好きです・・・。

クラゲちゃんは昔っから流されやすくて、押されるとそのままズルズルいっちゃうタイプなんだよねえ。

なるほど、典型的なコーリングステーションだね。じゃあ、ポーカーについて話を聞いてみようか。

ポーカーはたまにチンアナゴちゃん達とやるんですけど、あんまり勝ったことはないかな・・・。いろんなハンドで参加してみて、強い役ができればうれしいです・・・。
相手の方にベットされても、ペアかドローがあればついついコールしてしまいます・・・。
いえ、ダメなのはわかってるんですけど、まあいいかなって・・・。
あ、あとリンプインも好きです・・・。スーテッドとかポケットペアを持ってると、フロップを見てみたいなって・・・。大人数で皆さんと一緒にフロップを見るのが好きです・・・。

案外しゃべり出すと止まらないね。

根はおちゃめな子なんだよ。

OK、じゃあコーリングステーションの特徴をまとめてみようか。
- スタッツの例(6max):40/5/0.5/40(VPIP/PFR/AF/WTSD)
-
広いレンジで参加しがち(ルース)だが、ベットやレイズは少ない(パッシブ)
- レイズは非常に強いハンドでしかしない
-
ボトムペアやドローなど、真ん中の強さ(マージナル)よりも弱いハンドでベットに対してコールをする
-
リンプインしがち

スタッツの見方はこの記事を参考にしてね。

なーるほど。確かにクラゲちゃんそのものだね。
それでアジャストはどうすればいいの?

これがコーリングステーションに対する簡易的アジャストだよ。
- レンジをタイトにし、ショーダウンの勝率を高くする。
=コーリングステーションはなかなかフォールドしないため、頻繁にショーダウンまでいってしまう。(WTSDが高い) -
ブラフの頻度を下げる。ただし、IPからのフロップのセミブラフは有効な場合がある。ドローが引けなかった場合、ターンはチェックする。
=コーリングステーションはなかなかフォールドしないため、ブラフが利きにくい。 -
TPTKやツーペアなどの強いハンドで大きくバリューベットを打つ。
=普通ならフォールドされてしまうベットサイズでも、コーリングステーションはコールする。 -
シンバリューベットを打つ。
=マージナル以下のハンドにコールしてもらう。 -
プリフロップのリンプインに対してレイズ(アイソレート)する。ベットサイズは最低でも「3bb+(リンプインしている人数×1bb)」。
=リンプインしているプレイヤーに対してIPにいる場合は、特に広いレンジでアイソレートできる。アイソレートする際のハンドは投機的なものよりも勝率の高いものを選ぶ。88+、ATo+、KJs+など。 -
コーリングステーションがレイズをしてきたときはTPTKでもフォールドする。ナッツ級のハンドを持っているときはレイズに対してリレイズオールインする。
=コーリングステーションはレイズやベットの頻度が低く(AF<1)、特にブラフのレイズ頻度が低い。そのため、コーリングステーションのレイズにはプリフロップではAA、KKなどのプレミアハンド、ポストフロップではツーペア以上などの強いハンドが多く含まれている。

ふむふむ。全体的に大きくバリューを取って、ブラフは控えめにするのがいいんだね。

そういうことだね。コールしすぎるのがコーリングステーションの特徴であり弱点だよ。

ねえ、何かアジャストの具体例を出してよ。

OK。例えばこんなのはどうかな。BBがコーリングステーションだよ。
[open title=”解説:コーリングステーションへのアジャスト(1)”]
- プリフロップ
SBはOOPでポットを大きくすることがIPと比べて難しいので、少し大きめの4bbにオープンした。 - フロップ
ウェットなボードでドローが多いため、コーリングステーションからバリューを取れるハンドが多くなっている(K、Tのペア、ストレートドロー、フラッシュドロー)。そのため、大きめのバリューCBを打った。 - ターン
9はQJのストレートを完成させ、T9をツーペアにさせるカードだが、依然としてコーリングステーションのレンジにはKQ、KJ、JT、QT、フラッシュドローなどのAAより弱いハンドが多数ある。
それらのハンドは9によってさらにアウツが追加されているため、そうしたハンドからバリューを取るために大きなベットを打った。
ここでBBからレイズが返ってきたらQJ、KT、T9、44などが濃厚なのでフォールドすべき。 - リバー
4が落ちたことでKQやKJはフラッシュになるが、そうしたハンドはBBのレンジの中のごく一部であり、大半はフラッシュでないKQ、KJ、K8、AT、QT、JTなどのワンペアか、ターンでレイズしなかったKT、K9、T9などのツーペアである。リバーの4でSBはトップツーペアを手に入れたため、BBの大半のレンジには勝っており、バリューベットができる。
SBのレンジには引けなかったハートのフラッシュドローがあり、さらにBBはコーリングステーションであることを考慮して、SBはバリューのオーバーベットを打った。
[/open]

解説は上の青いボックスをクリックしてね。

すっごい勢いでベットするんだね。

もう一つ見てみようか。今度はHJがコーリングステーションだよ。
[open title=”解説:コーリングステーションへのアジャスト(2)”]
- プリフロップ
広いレンジを持つ2人のリンプインに対してBUのAJsは勝率が高く、さらにIPが確定しているため、アイソレートのためのレイズをした。
サイズは3bb+(2×1bb)=5bb。 - フロップ
TPTKはコーリングステーションに対して十分バリューベットが打てる。
しかしボードはややドライでバリューターゲットがJ、8、5のペア、ストレートドローのT9、76しかいないため、ベットサイズはポットの60%程度にした。 - ターン
QはT9のストレートを完成させ、QJをツーペアにさせる。
KJ、JT、J9などのワンペアや76からバリューを取ってもいいが、ターンのQはそうしたハンドにとってもスケアカード(相手にとって有利に見えるカード)であるので、大きなベットを打つとフォールドされる可能性もある。
BUがベットすると、AJよりも強いハンドにしかコールされないかもしれないので、今回はチェックした。 - リバー
Qが落ちたことによりHJのQJやQTのコンボ数が減った。また、HJがQJやQTを持っている場合、リバーでバリューベットを打つこともあるはずだがチェックしているので、二重の意味でHJがQを持っている可能性は低くなった。
そのため、BUはJのペア、8のペアなどのバリューターゲットに向けてシンバリューベットを打った。
[/open]

こっちもアグレッシブにベットしていくんだね。

二つともポイントはリバーのベットだよ。
こういうところで恐れずにコーリングステーションに対してベットしていけば、長期的に見てアジャストすることができるからね。
ルースアグレッシブLv.1のアジャスト

さて、次にルースアグレッシブLv.1(LAG Lv.1)の簡易的アジャストについて見ていこうか。

Lv.1ってのはなに?レベル1?

うん、実はね、LAGはうまくやればすごく強いプレイスタイルなんだ。
ルースだけどバランスの取れたレンジにしたり、相手のプレイスタイルを観察して特定の相手に対してだけアグレッシブにプレイするとかね。
でも、今回紹介するのはカジノの低レートによくいるような、まあ、こう言っちゃなんだけど、下手なLAGだね。僕はLv.1とLv.2で区別してるよ。

おっけー!じゃあ今日連れてきたのは多分Lv.1だから大丈夫!

じゃあ、次の方どうぞ。
まいど!おはようさん!!

はい、おはようございます。

うちの上司だよ。

イケイケな昭和のオッサンだが、コンプライアンスはきちんと守る。
プレイスタイルはルースアグレッシブ(Lv.1)。

課長、こちらジョーズくん。私のポーカーの先生です。

課長補佐やけどな!いやあ、ポーカーの先生なんやてね。ええなあ、ワイも学ばせてもらおかな!ガツーンと稼いで会社辞めたろかい!ダーッハッハ!

ははは。

この人いつもこんな調子なんだよ。

こりゃまた典型的なLAGだね。じゃあ、ポーカーについて話を聞いてみようか。

ポーカーってのはな、チップを積んだやつがいっちゃん強いねん。ハンドなんか関係あらへん。相手がチェックやらコールで弱み見せたらバチーン行ったりゃええねん!ま、一種のチキンレースやな!

チキンレースいうてわかるか?今の若い子は知らんかもしれへんけど、昔、ジェームズ・ディーンの『理由なき反抗』いう映画があってやな、崖に向かって車を走らせるあの有名なチキンレースはこの映画が元ネタやねん。ワイがちっさい頃の金曜ロードショーはこういう過去の名作をよう流しとった。せやけど最近はようわからへん漫画原作の邦画かジブリの連発やろ?あれはあかんわ。

OK、じゃあLAG Lv.1の特徴をまとめてみようか。

私はジブリうれしいけどなー。
- スタッツの例(6max):30/15/4/30(VPIP/PFR/AF/WTSD)
- 広いレンジで参加し(ルース)、積極的にベットやレイズをする(アグレッシブ)。
- フロップ、ターンのCB率が高い。トリプルバレルを打つこともしばしばある。
- 特に相手がチェックやコールをして弱みを見せると、どんなハンドを持っていてもベットする。
- アウツがないエアーハンド、マージナルでショーダウンバリューがあるハンドでも構わずベットする。

ふむ、確かに課長はこんなスタイルだね。それでそれで?どうやってアジャストすればいいの?

これがLAG Lv.1に対するアジャストだよ。
- LAGよりもタイトなレンジで戦い、ショーダウンの勝率を高める。
- IPで戦う。OOPでLAGの3ベットにコールしたり、フロートをしたりするのは控える。
=LAGはベット率が高く、OOPでAハイやミドルペアなどのマージナルなハンドを持っているとき、何度もベットにコールするのは難しい。 - LAGの左隣に座る。よりIPを取りやすい位置に座る。
- LAGのオープンに対して、通常よりも少し広いレンジで3ベットを打つ(ライト3ベット)。
=プリフロップは3ベットの頻度を高めることでルースなオープンに対応する。 - LAGのベットに対して、強いハンドまたはドローハンドでレイズする。
=ポストフロップではレイズとスロープレイを使い分ける。ウェットなボードの場合、ルースアグレッシブのベットに対してオーバーペアやツーペアのような強いハンドと、フラッシュドロー・ストレートドローなどの弱いハンドを混ぜてIPからレイズする。 - LAGのベットに対して、強いハンドでコールする(スロープレイ)。
=ボードがドライなとき、TPTK+のような強いハンドはスロープレイに回し、LAGのベットにIPからコールし続ける。

ふむ。コーリングステーションと比べてちょっと複雑だね。

まず、LAGへのアジャストで一番大事なのはポジションだよ。IPで戦うことが何よりも重要なんだ。

ふーん。どうしてなの?

LAGはベット率が異常に高いよね。
ということは、例えばOOPでマージナルなハンドを持ってても、LAGのベットに何度もコールできないんだ。
別の言い方をすれば、ポジションが悪いとエクイティを実現しにくいんだね。

そりゃそうだよね。ミドルペアやAハイじゃあ、トリプルバレルにコールなんてできないもん。

そういうアグレッシブなプレイヤーにアジャストするためには、ベットにリスクを負わせる必要があるよね。そこでIPからのレイズやスロープレイが有効になってくるんだ。
プリフロップではライト3ベットでルースなオープンにリスクを負わせられるよ。
ポストフロップでは強いハンドとドロー系のハンドを混ぜてレイズしたり、ドライなボードではセットやツーペアでスロープレイをすることで、LAGのベットにリスクを負わせられるんだね。

ふーむ、何かアジャストの具体例を出してよ。

OK、こんなのはどうかな。COがLAGだよ。
[open title=”解説:ルースアグレッシブへのアジャスト(1)”]
- プリフロップ
COのLAGは広いレンジでオープンしてきており、自分はIPが確定している。
ここではコールではなく3ベットを打つことでルースなオープンにアジャストしようとした(ライト3ベット)。 - フロップ
LAGのドンクベットはJJ、TT、99などのオーバーペア、7のワンペア、65のストレートドロー、4のトリップスなどのほかに、Kハイ、Qハイなどの弱いハンドも含まれていると考え、今回はフラッシュドローでブラフレイズした。
[/open]

おおー、こっちもアグレッシブにいくんだね。

大事なポイントはAA、KK、QQなどでも同じプレイラインを取るってことだよ。
プリフロップはもちろん3ベットを打つし、ポストフロップもLAGのドンクベットに対してレイズするべきだよ。すごく広いレンジでLAGはドンクベットを打ってる可能性が高いからね。
こういうふうに、強いハンド(オーバーペア)と弱いハンド(フラッシュドロー)を混ぜてレイズすると、LAGはもうどうしていいかわかんなくなるよね。

なるほど、LAGのベット打ちまくり作戦を無効にしちゃうんだね。

もう一つ見てみようか。今度はLJ(MP2)がLAGだよ。
[open title=”解説:ルースアグレッシブへのアジャスト(2)”]
- プリフロップ
88はLAGのルースなレンジに対して十分強いかもしれないが、今回はアーリーポジションからLAGはオープンしているので、案外タイトなレンジかもしれない。今回はコールを選択した。 - フロップ
88より強いハンドはAAのみ。ここでLAGのCBに対して88がレイズすると、Kハイ、Qハイ、弱いペア、T9などをLAGが持っていた場合、フォールドされてしまう可能性がある。
また、ドライなボードなので、ターン以降で88が逆転される可能性はかなり低い。
そのため、CBに対して単にコールするスロープレイを今回は選択した。 - ターン
ターンのQで88が逆転されたとしたらLAGがQQを持っている場合のみ。レアケースなので、フロップで88が勝っているならターンでも勝っている可能性が高い。
ただし、スペードのフラッシュドローやストレートドローをLAGが手に入れた可能性はある。
88はスロープレイを続けるか、ダブルバレルにレイズするかの選択だが、Aハイボードはプリフロップ・アグレッサーであるLAGのレンジに有利であるので、LAGはリバーでもブラフベットを打つ可能性が高いと読み、今回はスロープレイを継続した。 - リバー
88はAA、QQ、65、スペードのフラッシュに負けているが、ツーペアや7のセットには勝っており、LAGのレンジにはブラフもあることがわかっているので、ここでの選択は明らかにコールかレイズである。
今回は負けているハンドが多いので、単にコールを選択した。
[/open]

これはスロープレイの例だったね。

なるほど〜!単純に3回コールしたように見えるけど、結構いろいろ考えてるもんだね。

今日紹介したコーリングステーションとLAG Lv.1は、どちらもカジノでよく見るプレイスタイルだよ。
アジャストの戦略を立てたいなら、まずはこの二つを押さえておきたいね。

そういえば、どちらのアジャストもタイトなレンジになってたね。

そう。だから初級編でおすすめしたオープンレンジや3ベットレンジは、かなりタイトなものになってるんだね。

じゃあさ、もしもカジノでそういうタイトなプレイヤーに遭遇したらどうすればいいの?

大丈夫。タイトなプレイヤーを狩るためのアジャストもちゃんとあるのさ。
次回に一緒に見ていこうね。

今日のまとめッ!
今日のまとめ
- 「このタイプの相手だったらどうするか」を常に考えてアジャストしよう!
- コーリングステーションの特徴と簡易的なアジャスト方法を紹介したよ
- ルースアグレッシブLv.1の特徴と簡易的なアジャスト方法を紹介したよ
- どちらもタイトなレンジで戦うことが大事なんだ
- 次回はタイトなプレイヤーに対するアジャストを紹介するよ!

相手がどのプレイスタイルかを見極めるためには、相手がショーダウンしたハンドがヒントになるよ。
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