【上級編】ポットコントロールとディレイCB part1

目次

上級編って何をやるの?

ジョーズ

さて、今回からいよいよ上級編だね。

チンアナゴ

上級編ってどんなことをやるの?

ジョーズ

実はね、初級・中級・上級はそれぞれテーマがあるんだ。
初級編のテーマは「どんなレンジで戦うべきか」だよ。特にプリフロップのオープンレンジ・コールレンジなんかだね。

チンアナゴ

ふむふむ。

ジョーズ

中級編のテーマは「相手のレンジを考える」だったんだ。
レンジのヒントボードテクスチャから相手のレンジを考えて、自分のハンドの強さ(エクイティ)を測ろう!というのがメインテーマだね。

チンアナゴ

ああ、そういえばそうだったね。

ジョーズ

そして上級編のテーマは「相手から見た自分のレンジを考える」だよ。
上手いプレイヤー同士が戦うと、お互いが相手のレンジやエクイティを考え始めるんだね。そこで大事になってくるのが相手から見た自分のレンジなんだ。
例えば、この状況で相手から見た自分のレンジはとても強いから、自分のブラフは成功しやすいだろうとかね。

チンアナゴ

おお、確かにだんだん高度になってる気がするね。

ジョーズ

うん、よりメタな考え方になっていくんだ。
そしてその一つの終着点がゲーム理論(GTO)だよ。お互いのプレイヤーが相手のレンジ・エクイティ・ポジション・スタックサイズを十分に考慮してより有利な戦略を使おうとすると、お互いにこれ以上戦略を変えようがないところまできちゃうんだね。また超上級編(GTO編)で解説するよ。

チンアナゴ

なるほど〜。今回はどんなことを話してくれるの?

ジョーズ

今回は「相手から見た自分のレンジを考える」の最も基本的なパターン、ポットコントロールとディレイCBについて解説するよ。詳しくは次の章で!

ポットコントロールとは?

ジョーズ

まずはポットコントロールについて説明していくね。チンアナゴちゃんは聞いたことある?

チンアナゴ

ないかなあ。どういう意味なの?

ジョーズ

ポットコントロールのもともとの定義は「ポットを小さくしてローリスクでショーダウンを目指すこと」なんだ。
中でも特に「フロップやターンでショーダウンバリューがあるとき、ベットせずにチェックすること」をポットコントロールと呼ぶことが多いよ。

チンアナゴ

ショーダウンバリューがあるってことは、真ん中ぐらいの強さ(マージナル)ってことだよね。そのときにチェックする、か。何か具体例が欲しいかも。

ジョーズ

OK、こんなのはどうかな。

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ジョーズ

HJからAQoでオープンして、BBだけがコール。見てのとおり、フロップでミドルペアができたよ。

チンアナゴ

ほんとだ。それで、BBがチェックしたところなのかな。

ジョーズ

うん、そうだね。チンアナゴちゃんがHJだったらどうする?ベット?チェック?

チンアナゴ

うーん、相手(BB)のレンジと比べて私のAQってどのくらい強いんだろう。それがわかんないと、正しいアクションもわかんないよ。

ジョーズ

そうだね。まさに中級編で解説したハンドの強さを測ろうってことだよね。じゃあ、今回はボードテクスチャを使ってAQの強さを測ってみようか。

チンアナゴ

オッケー。

ジョーズ

KQ4はそこそこドライなボードだね。ドライなボードのときは「まあまあのキッカーのセカンドペアが真ん中の強さ」だよ。覚えてるかな。

チンアナゴ

うん、ボードテクスチャの記事で言ってた気がする。

ジョーズ

もしBBがタイトなプレイヤーでないならば、って条件つきだけどね。

チンアナゴ

じゃあ、AQはキッカーが強いセカンドペアだから・・・真ん中より少し強いくらい?

ジョーズ

うん、僕もそう思うよ。大体65%くらいの勝率なんじゃないかな。

チンアナゴ

じゃあ、AQでバリューベットを打っちゃう!BBは弱いQのペアかもしれないし、ストレートドローかもしれないしさ。

ジョーズ

そう、それが中級編までのレンジとエクイティを使ったやり方だったんだね。
でも、ポットコントロールの考え方からいくと、ここはチェックなんだ。

チンアナゴ

あらら。どうしてなの?

ジョーズ

実はこのBBは相手のレンジを考えてプレイできる上手いプレイヤーなんだよ。
だから、もしBBがQTなんかの弱いQを持っていたとしても、フロップ・ターン・リバーの3ストリートでバリューベットにコールしてくれそうにないんだ。

チンアナゴ

あ、BBから見たHJのレンジが強そうだから、途中でフォールドしちゃうってことか。

ジョーズ

うん、そうだね。HJがオープンしたレンジはとても強くて、AA・KK・QQ・AKなんかの強いハンドが入ってるからね。逆にプリフロップで3ベットをせずにコールドコールしたBBのレンジには、そういう強いハンドは入ってないんだ。

チンアナゴ

うんうん、そうだよね。

ジョーズ

改めてHJの視点に戻ろうか。HJはセカンドペアで3回バリューを取ることが難しそうなんだ。それならフロップはチェックしておいて、ターン以降で2回バリューを取るプランのほうがいいかもしれないよ。
それにフロップでチェックすると、ターンでBBはブラフを打ってくれるかもしれないから、それにコールすれば得だしね。

チンアナゴ

BBがターンでブラフを打つハンドって、どんなのがあるの?

ジョーズ

色々あると思うよ。BBはJTとかATみたいなストレートドローでブラフするかもしれないし、もしかしたら87sみたいなエアーかもしれない。
なぜなら、BBから見たHJがチェックするレンジには99、A4sみたいな弱いペアが入ってるからね。そういうまあまあのエクイティがあるハンドをBBはブラフで降ろしたいんだよ。

チンアナゴ

ふむふむ、セカンドペアで3回バリューが取れない、チェックすればBBはブラフを打ってくれるってのがポイントなんだね。
でもさ、相手がドロー系のハンドを持ってるなら、やっぱりフロップでベットしたくなっちゃうよ。ダメなの?

ジョーズ

ドローに対するプロテクトベットってことだよね。そのベットにBBがコールとかフォールドをしてくれたらいいんだけどね、レイズされるとAQのHJはキツイよ。

チンアナゴ

BBがチェックレイズしてくるかもってこと?

ジョーズ

うん。例えばプロテクトベットに対してBBが3、4倍のサイズにチェックレイズすると、セカンドペアのHJはコールすることができないんだ。

チンアナゴ

ふーむ、コールするとどうなるの?

ジョーズ

それだとBBはセミブラフだけじゃなくてツーペア、セット、TPGK(トップペア・グッドキッカー)なんかのハンド混ぜてチェックレイズをする戦略が取れるんだ。そうすればHJからかなり大きなバリューが取れるよ。
つまり、HJはマージナルなセカンドペアでCBを打ったり、さらに相手のチェックレイズにコールするのはやりすぎなんだ。相手のチェックレイズ戦略にアジャストされちゃうんだね。

チンアナゴ

そっか、CBの記事で言ってたね。CBの打ちすぎはレイズに弱いって。

ジョーズ

そうなんだよ。このCBの打ちすぎとチェックレイズの話は大事だよ。
そうだ、せっかくの上級編だし、エクイティとEV(期待値)の観点からも今の話を説明してみようかな。

チンアナゴ

ほほう、エクイティとEVというと?

ジョーズ

セカンドペアみたいなマージナルなハンドはね、そもそもチェックしたときにもある程度のエクイティがあるんだ。

チンアナゴ

うんうん。

ジョーズ

でも、そこで特にIPからベットしてしまうと、OOPの相手にレイズする権利を与えてしまうんだ。そうすると、レイズされたときに自分が持ってるエクイティを捨てなきゃいけなくなるんだね。
だから、エクイティがそこそこあるからといって常にベットしていると、相手の有利な戦略にアジャストされてしまって、結果的にEVがマイナスになってしまうんだよ。

チンアナゴ

えーっと・・・エクイティがそこそこあるからといって常にベットしてると、レイズとかに降ろされちゃってそのエクイティがパーになるから、期待値的にはマイナスってことか。

ジョーズ

そういうこと!中級編はレンジとエクイティの話がメインだったけど、そればっかりやってると上手いプレイヤーに読まれてアジャストされちゃうんだね。

チンアナゴ

うーん、難しいゲームだなあ。結局ポットコントロールって一言で言うと、どういうことなの?

ジョーズ

うん、じゃあ次の章でポットコントロールの総まとめをしようか。

レンジを広く保つ:ポットコントロールの極意

ジョーズ

さて、前の章ではポットコントロールについて具体的なシチュエーションを引き合いに出して説明してみたよ。
ここでは「ポットコントロールって結局何なの?」とか「いつ、どんなときにポットコントロールをすればいいの?」なんかのもっと一般的な話をしてみようかな。

チンアナゴ

うん、それ知りたい!

ジョーズ

ポットコントロールを一言で言うとね、チェックするレンジを広く保つことで、相手に簡単にアジャストされないようにするテクニックなんだ。

チンアナゴ

チェックするレンジを広く保つ?

ジョーズ

うん、つまりね、すべてのペアやドローでベットしてると、自分のベット頻度が高いことが相手にバレちゃって、相手に簡単にアジャストされるんだ。

チンアナゴ

ああ、さっきの章の話だと、ベットしすぎはチェックレイズで対応されちゃうってことなんかな。

ジョーズ

うん、そのとおりだね。あと、ベットせずにチェックしたときもマズい展開になるよ。だって、すべてのペアやドローでベットするプレイヤーがチェックしたってことは、ほとんどエアーしか持ってませんって宣言してるようなもんだからね。

チンアナゴ

た、確かに。エアーしか持ってないプレイヤーにはベットすればいいだけだもんね。

ジョーズ

そう。ベットしようがチェックしようがアジャストされてしまうんだよ。
じゃあどうするかというと、そこそこのエクイティがあるハンドやすごく強いハンドをチェックに回せばいいんだね。

チンアナゴ

例えばどういうハンド?

ジョーズ

そこそこのエクイティがあるハンドは弱いペアとかAハイ、すごく強いハンドはドライなボードのトップセットなんかだね。もちろん、すごく弱いエアーでもチェックすることもあるよ。

チンアナゴ

ふむ、強いハンド=ベット・弱いハンド=チェックっていうふうに分けずに、いろんなハンドをチェックするレンジにバランスよく混ぜておくってことか。

ジョーズ

まさにそういうことだよ。そうすればアクションや頻度からアジャストされにくくなるからね。
「そこそこエクイティがあるハンド」をチェックに回すことをポットコントロール、「すごく強いハンド」をチェックに回すことをスロープレイっていうんだ。

チンアナゴ

なーるほど!

ジョーズ

相手から見た自分のチェックするレンジを広く保つ
=そうすると相手は簡単にアジャストすることができない&次のストリートで相手のブラフをキャッチできる
=結果的にセカンドペアみたいなハンドのエクイティが実現しやすくなる
これがポットコントロールだよ。

チンアナゴ

ふむふむ。それは確かに上手いプレイヤーに対して効きそうだね。

ジョーズ

ついでに言えば、チェックすると相手はレイズする機会を失うわけだから、結果的にポットは小さくなりがちだよね。だからマージナルなハンドで大きなポットに参加してコミットしないようにすることもポットコントロールの目的の一つだね。

チンアナゴ

ねえ、どんなときにポットコントロールって狙えばいいの?

ジョーズ

OK。じゃあポットコントロールのチェックリストを作ってみようか。次の項目に当てはまるような状況はポットコントロールがおすすめだよ。

  • 自分のハンドはマージナル(勝率が40%〜60%あたり)である
  • 自分はIPである
  • 3ベットor4ベットポットなのでSPR(スタックとポットの比)が小さい
  • 比較的ドライなボード、あるいは相手のレンジにドローが少ないことがわかっている
  • 相手はほかのプレイヤーのレンジや自分のハンドのエクイティを考えられるプレイヤーである
  • 相手はアグレッシブなプレイヤー(ベットやレイズが多い)である
ジョーズ

こんなところかな。六つ全部当てはまらなくてもいいよ。四つか五つ当てはまればポットコントロールが正解になることが多いんじゃないかな。

チンアナゴ

最後の「相手がアグレッシブなプレイヤー」ってのはどうして?

ジョーズ

ポットコントロールせずにベットしてると、アグレッシブなプレイヤーからチェックレイズが飛んでくるからだよ。チェックレイズにコールして、ターンでもベットを打たれて・・・ってのは嫌な展開だよね。相手が上手いプレイヤーじゃなくても、思考停止でアグレッシブにベットやレイズをされるだけでキツいんだよ。

チンアナゴ

うーん、それは確かに嫌だね。

ジョーズ

それならフロップはポットコントロールでチェックして、ターンとリバーでアグレッシブなプレイヤーのブラフをコールしたほうがよさそうだよね。

チンアナゴ

うむ、確かに。

ジョーズ

ただし、相手がコーリングステーションなら別だよ。ドロー系のハンドや弱いペアで何度もバリューベットにコールしてくれるなら、それはポットコントロールをする必要はないからね。素直にベットするのがいいと思うよ。

チンアナゴ

ということで今日のまとめッ!

今日のまとめ

今日のまとめ
  1. 上手いプレイヤーと戦うときは「相手から見た自分のレンジ」を考えよう!
  2. ポットコントロールは「自分のチェックレンジを広く保つこと」。そうすることで相手にアジャストされにくくなるんだ
  3. いつ、どんなときにポットコントロールをするべきかのチェックリストを作ってみたよ
ジョーズ

次回はポットコントロールの番外編・ディレイCBについて解説していくよ。

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